アルコールは百薬の長か?

猛暑が続き、ビールが美味しいですね〜。

さて、本日のテーマ“アルコールは百薬の長か?”について考えてみましょう。

人類は古来、神事などにアルコールは必需品でありました、現在も“ノミュニケーション”といわれるように、人と人との円滑な関係に欠かせない役割を果たしています。アルコールは、脳に作用して、大脳新皮質という部分を麻痺させます。大脳新皮質というのは、人間特有な感情を司るところで、恥ずかしいとか見栄とかの感情で、本能を制御して社会的に適応させているところです。過度な緊張やストレスにさらされている現代人は、まさに、大脳新皮質が緊張状態にあるといっていいでしょう。アルコールは大脳新皮質を麻痺させることで、この過緊張状態から解き放してくれます。それが“酔う“ということです。もう一つ、大脳の側座核というところに作用してドーパミンという”幸せ物質“を大量に分泌します。その結果、飲酒をすると、気分爽快になって、人とのコミュニケーションも活発になります。飲酒の理由として多くの人が心身の疲れをとるため、もしくは人とのコミュニケーションのためと答えているのは、その証拠ですね。もっとも、飲んだ勢いで上司と対立して、会社にいずらくなり、ストレスが増したなんて笑えない話もありますが、、、。

また、適量のお酒を飲んでいる人の死亡率が、全く飲まない人や大量に飲む人に比べて最も低いというJカーブ効果と言われている医学的データが数多くあります。これは、適量のお酒がストレス発散の効果をもち、また善玉コレステロールを増加させることによって動脈硬化を予防し,心筋梗塞等の死亡を減少させる結果といわれています。

しかし、その反面、飲んだ翌朝に“二日酔いだー、もう絶対飲まない”って思ったことはありませんか? 飲み過ぎるとアルコールの分解産物である有害物質アセトアルデヒドが多量となり、頭痛、吐き気をおこすといわれています。また、長期に大量のお酒を飲み続けると、このアセトアルデヒドが、肝臓障害をはじめとする全身の臓器障害をおこし、死亡率を上昇させます。また、アルコール依存症になる危険もあります。では、適量とはどのくらいなのでしょうか?一升飲んでもほろ酔いなら、一升が適量?いえいえ、そういうほろ酔いの適量ではありません。“酒は百薬の長”でいられる医学的な適量とはお酒に強い成人男性でビール大びん1~2本、日本酒1~2合、ウイスキーダブルで1~2杯、女性は女性ホルモンの影響で男性の約半分と言われています。

しかし、日本人の44%にアルコールの分解産物であるアセトアルデヒドを分解する酵素の活性が弱いか欠けているため、遺伝的、体質的にアルコールに弱いか全く飲めない人がいます。アセトアルデヒドによる臓器障害を受けやすいので、先ほどの適量は当てはまりません。訓練してお酒を強くなろうなどと思わず、また、周りの人がお酒を強要するのはアルコールハラスメントという犯罪になりますからご注意ください。また、妊娠中は胎児の脳などの発育に悪影響をおよぼしますし、授乳中も控えましょう。

心身の疲れを癒し、人と人とのコミュニケーションを円滑にして、動脈硬化も予防してくれる大切な友人“百薬の長アルコール”として、適量を守り、末長く付き合っていきたいものですね。